若き革職人たちが次々と革製品を手がけていく「ボアブ・レザーワークス」は、沖縄県宜野湾市に工房を構えるレザーブランド。企画・設計から製作まで一貫して自社内の工房で行い、他では見ることのできないスタイルのある革小物を生産している。水転写で革に色を付けていくマーブリングシリーズなど、世に中に2つとない製品を生み出す注目の存在だ。
沖縄県宜野湾市に拠点を設ける「ボアブ・レザーワークス」
沖縄県宜野湾市。ここは在日米軍海兵隊が駐留する「普天間航空基地」が街の中に広がる、アメリカにもっとも近い場所のひとつだ。
2020年12月に基地の一部返還が決まり、現在は再開発に向けた工事が着々と進む。やがて大きな商業施設やリゾートホテルが建築されると、周囲の景色も一変することだろう。
「ボアブ・レザーワークス」のスタジオは、その宜野湾市普天間にある。
2013年に代表の伊波(いは)さんが立ち上げた「ボアブ・レザーワークス」は、財布やバッグ、革小物などを生み出すレザーブランドだ。
ブランド名の「ボアブ」はオーストラリア英語でバオバブの木という意味。個性あふれる樹に惹かれて使うようになったという。
オーストラリアを放浪する中で覚えた革細工
じつは、もともとサーフィンを楽しみたいと思って若い頃にオーストラリアのキャンプ場を渡り歩きながら旅をしていた伊波さん。たまたま訪れた地が、海までかなり距離のある場所だったことから暇を持て余してしまい、テントの中で革細工を始めたのが、すべての始まりになった。
最初は自分で使う革小物を作っていたが、やがてその噂を聞いた他のキャンパーが伊波さんのテントを訪ねるようになり、製作の依頼が舞い込むようになった。
暇つぶしに始めた革細工が滞在費を稼ぐようになり、帰国後にブランドを立ち上げるきっかけになったという。
現在は伊波さんが主に企画を担当し、ゼロから形を考えていくという難しいテーマに挑みながら作品を生み出している。
スタジオには現在5名のスタッフが在中しており、伊波さんが企画した製品を丁寧に仕上げていく。
一つひとつハンドメイドで生産される革製品
革製品は一つひとつを職人がハンドメイドで生産するという特性から大量生産には向かないため、完成した製品は自社のオンラインストアと、普天間にある伊波さんと、その実弟の2人で営むセレクトショップ「コルク」でのみ取り扱う。
実物を手に取ることができる実店舗には、地元・沖縄はもちろん、わざわざ足を運んでくる観光客も少なくないそうだ。
近年はグラインドロッジとのコラボ作などで人気を博している「ボアブ・レザーワークス」だが、水面にインクで模様を描き革に移しとるというマーブルラインなど、独自の製品も数多く手がけている。
また、ブランド発祥のきっかけがキャンプ場にあったこともあり、早くからキャンプに関連する製品作りにも携わってきた。
ガス缶カバーやハンティングチェア、蚊取り線香スタンドなど、ユニークなアイテムはこうして若き職人たちの手で丁寧に生み出されているのだ。
「今後は地の利を生かして、海外での展開も考えています」と、伊波さんは抱負を語る。
沖縄へ遊びに行った際には、ぜひ「ボアブ・レザーワークス」の製品を取り扱う「コルク(店舗)」まで、足を運んでみるといいだろう。
次のページでは「Boab LEATHER WORKS(ボアブ・レザーワークス)」の製品や、宜野湾市にある店舗を紹介していこう。
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