雨飾山登山の玄関口として数多くの登山客が訪れる雨飾高原。付近にはブナの原生林に囲まれた幻想的な景観を誇る鎌池や“小谷最奥の秘湯”と呼ばれる「雨飾高原露天風呂」もある。夏は星空を、秋は紅葉も楽しめる。アクセスはちょっと大変だが、簡単に行けない場所だからこそ、普段見ることのできない絶景を堪能できるというものだ。

▲写真は最上段の「うさぎサイト」からの眺望。撮影は8月下旬であったため、緑が濃いが、10月にはすっかりと色づいた木々に囲まれるという。
新潟県と長野県にわたる妙高戸隠連山国立公園内、標高1200mの雨飾高原(あまかざりこうげん)の山腹に、ひっそりと佇み、満天の星を堪能できるのが「雨飾高原キャンプ場」だ。
冬季は雪深いエリアであることから、接続する道路は通行止めになり、営業期間も6月中旬~10月末頃の期間限定。長野市内、糸魚川市内のどちらからでもクルマで1時間30分はかかる。
キャンプ場は秘湯として知られる小谷温泉から、さらに山道を進んだ所にあり、ほどよく整備されているのが大きな特徴のひとつだ。

▲場内は綺麗に舗装された園路が走り、その両サイドにキャンプサイトが広がる。それぞれの占有エリアは植栽などで区画されているわけではなく、自然のままのロケーションでキャンプを楽しめる。
ここは小谷村が1997年に観光開発用に建設したキャンプ場であることから、今でも施設の管理・メンテナンスがしっかり施されている。このため場内をぐるっと一周する道路もきれいに舗装されており、緩やかに区画されたキャンプサイトもしっかりと造成済みだ。
テントを張る場所はどこも水平レベルが保たれているから、テントの中でも快適な夜を楽しめるだろう。

▲場内は管理棟を中心に大きく3区画に分かれている。写真は上段側から下段側を写したもの。写真の上の方が、下段にあるセンターハウス(管理棟)やトイレ、炊事場。写真の下の方が実際には上段にあたる「ふくろうサイト」になっている。
全区画にクルマを乗り入れできるのも荷物の多いキャンパーにはありがたいポイントだ。キャンプエリアは大きく分けると5つある。下段から順番に、管理棟近くでトイレやシャワーにも便利な「たぬきサイト」および「きつねサイト」、次いでキャンプ場の中腹にある「ふくろうサイト」(ここは近くに電灯がないため、特に星空がきれいに見えるそうだ)、さらに上段にあるのが眺望のよい「うさぎサイト」。他に登山者向けの「フリーサイト」となっている。
これらのエリアには1区画のみ設けられた「常設ウッドデッキオートサイト」、管理棟近くのたぬきサイトとうさぎサイトに設けられた全3区画の「ウッドデッキオートサイト」、8×8mの占有面積を誇る全32区画の「オートサイト」、5×5mのコンパクトな「登山者オートサイト」があり、いずれも事前の予約が必要。
登山者向けの「フリーサイト」のみは予約不要で、当日サイトが空いていれば利用できる。

▲写真は管理棟。レンタル品も充実しており、夏場は着替えだけ持ってくる手ぶらのキャンパーも多いという。

▲管理棟の内部には充実した売店もある。

▲管理棟内にはランドリーコーナーやコインシャワー、トイレもある。
共用設備は管理棟内にコインシャワーや、温水洗浄機能の付いた洋式水洗トイレ、売店など。
上段の「うさぎサイト」と「ふくろうサイト」の間にも別途炊事棟やトイレ棟が設置されている。

▲上段にあるトイレ棟と炊事棟。

▲人里離れた標高1200mの高原キャンプ場。キャンプ場の下には登山客専用のフリーサイトも備わる。
入浴は場内のコインシャワー以外に、クルマで3kmほど下った「雨飾荘」の辺りに、“小谷最奥の秘湯”と呼ばれる男女別の露天温泉「雨飾高原露天風呂」もある(有料)。営業時間は10時~21時(11月中旬から4月下旬まで冬季閉鎖)。屋根も洗い場もない野湯のような源泉掛け流しの温泉は「雨飾高原キャンプ場」のもうひとつの魅力にもなっている。
なお、キャンプ場は標高の高い山中であることから季節は平地よりもだいぶ早め。10月中旬には周囲の山はきれいに色づいた絶景に変わるという。
紅葉を楽しみたいなら「うさぎサイト」がおすすめだ。

▲写真は「雨飾高原キャンプ場」から3kmほど下った場所にある「雨飾高原露天風呂」。洗い場はないので、体を洗いたい場合は、露天風呂の隣にある「雨飾荘」の日帰り風呂を利用しよう(有料)。

▲「雨飾高原キャンプ場」から4kmほど離れたところにある鎌池は紅葉の景勝地として知られる場所。標高は1190m。池の周囲は一周2kmの遊歩道に囲まれており、新緑の頃や、紅葉の時期には多くの人が訪れる。(写真提供:雨飾高原キャンプ場)

▲登山者の利用も多い。登山客にとっては、ベースキャンプとしての役割も担っているようだ。(写真提供:雨飾高原キャンプ場)
VIEW|景観
山の斜面に造成された階段状のサイトが広がる林間のキャンプ場。全域で車両の乗り入れが可能で、通路もきれいに舗装されている。景観がいいのは上段だ。
FOOD and DRINK|食料・飲料
国道から15km以上山中に分け入った山の中にあるため、飲料・食料の調達は周辺では難しい。最寄りのコンビニはキャンプ場から17km、クルマで30分の距離だ。
ACCESS|交通
北陸自動車道・糸魚川ICから約45km、道路状況によってはクルマで1時間強。白馬村からも40km以上あり、90分以上かかるなど、ロングドライブは必至だ。
ADVICE|ひとことアドバイス
国道148号からキャンプ場へ向かう山道は幅員が非常に狭く、車両のすれ違いは困難。そこに乗合のバスが運行しているので、交通には十分気をつけて! キャンプ場の帰路は、3kmほど下った場所にある「雨飾高原露天風呂」でぜひ天然温泉に浸ってみて!
雨飾高原キャンプ場|AMAKAZARI CAMP FIELD | |
WEBサイト | https://www.amakazari.com |
所在地 | 〒399-9511 長野県北安曇郡小谷村中土18926-1 |
営業期間 | 6月中旬~10月末 |
定休日 | 9月/10月のみ定休日あり |
電話番号 | 0261-85-1045 |
サイト数 | 39区画(別途登山者用フリーサイト有り) |
参考料金 | 6050円(大人2名利用時の税込合計料金) |
予約方法 | WEB |
チェックイン | 13:00~17:00 |
チェックアウト | 9:00~11:00 |
地面 | 芝生・草・土 |
備考 | 常設ウッドデッキオートサイト:1万3200円〜 ウッドデッキオートサイト:4400円〜 オートサイト:3300円〜 登山者オートサイト:1100円〜 登山者フリーサイト(1人):1320円 ※宿泊者は村内温泉施設(サンテインおたり・道の駅おたり)の割引利用も可 ※温泉は近隣の「雨飾高原露天風呂」が利用可(有料) |
設備 | |||||
区画サイト | フリーサイト | AC電源 | 車両搬入 | オートキャンプ | 簡易宿泊棟 |
◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ | × |
水回り付宿泊棟 | ペット | 共用ドッグラン | 焚き火 | 直火 | 炊事場 |
× | ◯ | × | ◯ | × | ◯ |
給湯 | ゴミ捨て | コインシャワー | 風呂 | 洋式水洗トイレ | 洗浄機能付き便座 |
× | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ |
BBQ設備 | 洗濯機 | 乾燥機 | 自販機 | 管理棟 | 24時間管理 |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × |
売店 | Wi-Fi | レストラン | レンタル | ||
◯ | × | × | ◯ |
注意 | 営業内容は変更されている場合があります。詳細は各施設に直接お問い合わせください。 掲載されている写真は取材時のものです(以下のPUBLISHED参照)。現況と異なる場合がありますので、必ず最新の状況を施設で確認してください。 |
UP DATE|2023/08
PHOTO|KAZUTOSHI AKIMOTOおよび施設提供写真
TEXT|KAZUTOSHI AKIMOTO
PUBLISHED|2022
SOURCE|全国キャンプ場ガイドブック 2022-2023
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